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市場調査にAIを使う【AI市場調査】とは?生成AIで変わる調査のスピード・精度・コスト

Laboro.AIコラム

市場調査にAIを使う【AI市場調査】とは?
生成AIで変わる調査のスピード・精度・コスト

2026.7.17公開
株式会社Laboro.AI編集部

目 次

AI市場調査とは——従来の市場調査と何が違うのか
なぜ今、一次調査にもAIが使えるようになったのか——二次調査から一次調査への広がり
AI市場調査で得られる実質的なメリット(一次調査/二次調査)
AI市場調査の具体的な活用場面(一次調査/二次調査)
AI市場調査を進めるうえで注意すべきポイント(一次調査/二次調査)
AI市場調査の実践ステップ——どこから始めるべきか
国内先行事例:Laboro.AIの未来リサーチ
まとめ:AI市場調査を武器にするために

AI市場調査とは——従来の市場調査と何が違うのか

市場調査は、企業が新規事業の参入可否を判断したり、既存商品のマーケティング戦略を見直したりする際に欠かせないプロセスです。しかしこれまでの市場調査は多くの場合、

・時間がかかる

・コストが高い

・担当者のスキルに品質が左右される

という三重苦を抱えてきました。

そうした課題に風穴を開けているのが、AI——とりわけ生成AI・LLM(大規模言語モデル)・AIエージェントを活用した市場調査「AI市場調査」です。

従来の市場調査の分類とその課題

従来の市場調査は大きく分けて、一次調査(プライマリーリサーチ:アンケート・インタビュー・フォーカスグループなど、自社で新たにデータを収集する調査)と、二次調査(デスクリサーチ:業界レポート・ニュース・競合情報などを収集・整理する調査)に分類されます。さらに一次調査は、多数の対象者から数値データを集める「定量調査(アンケートなど)」と、少人数を対象に深い洞察を得る「定性調査(インタビュー・フォーカスグループなど)」に分けられます。

一次調査(定量・定性いずれも)は、リアルな生活者の声や回答を直接得られる強みがある一方で、調査設計から対象者のリクルーティング、実施、集計・分析、レポート作成まで、最低でも1〜3ヶ月のリードタイムを要するのが一般的です。専門のリサーチ会社に外注した場合、数十万円から数百万円のコストが発生することも珍しくありません。

意思決定のスピードが競争力を左右する現代のビジネス環境において、この非効率さは単なる「コスト問題」にとどまらず、ビジネスチャンスの損失にも直結しうるものです。

二次調査は比較的コストを抑えられる一方、網羅的な情報収集には膨大な人的工数が伴い、担当者のスキルや検索能力によって品質にばらつきが生じやすいという課題を抱えてきました。

AI市場調査とは、生成AIやLLM、AIエージェントなどの先端のAI技術をこうした市場調査のプロセスに組み込み、情報収集・整理・分析・レポート作成を自動化・高速化するアプローチです。

ただし、AIによる変化の度合いは一次調査と二次調査とで大きく異なります。次章で、その広がり方を整理します。

なぜ今、一次調査にもAIが使えるようになったのか——二次調査から一次調査への広がり

まず前提として、ここで整理するAI活用の広がり方は、あくまでビジネスとして使えるサービスが登場・普及してきた順序を指すものです。AIによる各領域の研究・技術開発自体は分野を問わず並行して進められてきており、技術的な難易度や着手の早さが必ずしもこの順序と一致するわけではない点にはご留意ください。

まず変わったのは二次調査だった

生成AIの活用がいち早く定着したのは、二次調査(デスクリサーチ)の領域です。ChatGPTのDeep Research機能やGemini、Claudeの同様の機能を使えば、インターネット上の公開情報を自動巡回・収集し、その内容をリアルタイムで要約・分析することができます。従来であれば数日〜数週間かかっていた業界レポートや競合情報の収集・整理が、数時間程度に圧縮されるケースも珍しくありません。

二次調査は「公開されているテキスト情報を読み解く」という、生成AIが最も得意とするタスクと相性が良かったことが、いち早くAI化が進んだ理由といえます。

一次調査は長らく「変わらない領域」だった

一方で一次調査は、対象者のリクルーティングや実査という物理的なプロセスがボトルネックとなり、生成AIが登場した後も長らく大きな変化が見られませんでした。アンケートやインタビューは「人に会う・答えてもらう」ことが前提であり、AIによる時短の恩恵を受けにくい領域だったのです。

定性調査からAI化が始まった——博報堂・電通の取り組み

その状況に変化の兆しが見え始めたのが、一次調査のうち定性調査の領域です。サービスとして実用化されてきた順序で見ると、博報堂や電通といった大手広告代理店を中心に、AIペルソナやAIエージェントを用いて定性的なインサイトを得るサービスの提供が先行してきました。

なかでも博報堂グループは、当社Laboro.AIも開発に関わったマルチAIエージェント型の業務支援サービスを2024年から提供しており、比較的早い段階から一次調査(定性)領域でのAI活用に取り組んできた先行例のひとつです。

参考:博報堂ニュースリリース「博報堂、生成AIで生活者発想を支援するサービスプロトタイプを開発」

電通も2026年4月、独自の生活者データをもとに約750パターンの「特化型AIペルソナ」を開発し、対話型ソリューション「AI For Growth Talk」として運用を開始したと発表しました。

1対1のインタビューだけでなく、AIペルソナ同士の会話やグループインタビュー形式のシミュレーションにも対応しており、従来はリクルーティングと実施に時間を要していたインタビュー調査やフォーカスグループを、AIとの対話によって短時間で代替・補完できる可能性を示しています。

参考:電通ニュースリリース「電通、AIで多様な生活者像を再現する新ペルソナを開発」

こうした動きは両社に限らず、AIペルソナを用いた定性的なインサイト抽出への関心は業界全体で高まりつつあり、「人に聞く」ことが前提だった定性調査の領域にも、AIが実務レベルで活用され始めていることを示しています。

そして、定量調査もAIで代替できる時代へ

定性調査でAIペルソナが実用段階に入ったことは、「アンケートのようにより厳密な定量データも、AIで代替できるのではないか」という発想を後押ししました。LLMを用いて仮想的に消費者の回答を再現し、実際のパネル調査に匹敵する規模の定量データを短期間で生成する「AIシミュレーション調査」がそれにあたります。

Laboro.AIが提供するAIシミュレーション調査サービス「未来リサーチは、まさにこの定量調査のAI代替を実現するサービスです。

LLMの高度な推論力を用いて仮想的に消費者の反応・回答を再現し、コンセプト受容性調査・PSM調査(価格感度調査)・NPS調査・需要調査・ブランドイメージ調査など、従来はアンケートによる実査が必要だったテーマを、AIシミュレーションによって短納期・低コストで実施できます。

海外ではすでに「AI合成研究」が市場調査を置き換え始めている

海外では、AIシミュレーション調査はすでに実務レベルでの活用が進んでいます。

米国のAaruは、LLMを用いたマルチエージェント・シミュレーションによって人間の行動を大規模に予測・再現する「AI合成研究(Synthetic Research)」を手がけるスタートアップです。数千から数十万規模のAIエージェントに消費者・有権者・投資家などの意思決定を仮想実行させることで、従来のアンケートやフォーカスグループを根本から置き換える存在として急速に注目を集めており、2025年末には評価額10億ドル規模の資金調達を実施しています。

顧客は消費財メーカーや広告代理店にとどまらず、エンタメ企業・金融機関・政府機関にまで及び、戦略判断の基盤として実務レベルで活用され始めています。この動向は、AIシミュレーション調査が「テクノロジーの実験」ではなく、現実のビジネス意思決定を支えるインフラへと移行しつつあることを示すものです。

つまり、サービスとして実用化が進んできた順序で見ると、AI市場調査は「二次調査のAI化(Deep Research等)」→「一次調査のうち定性調査のAI化(博報堂・電通によるAIペルソナ対話サービスなど)」→「一次調査のうち定量調査のAI化(未来リサーチなど)」という広がりを見せてきた、というのがここまでの流れです。

以降では、一次調査(定性・定量)と二次調査のそれぞれについて、メリット・活用場面・注意点を整理します。

AI市場調査で得られる実質的なメリット(一次調査/二次調査)

一次調査(定性・定量)におけるメリット

リクルーティング・実査を待たない機動性

AIペルソナとの対話(定性)やAIシミュレーション調査(定量)は、実際の対象者をリクルーティングする必要がありません。そのため、従来は数週間〜数ヶ月かかっていた実査プロセスを大幅に圧縮でき、「仮説を立てたらすぐに検証できる」というサイクルを一次調査にも持ち込めるようになりました。

コストの圧縮

パネル謝礼やインタビュアーの人件費、会場費といった従来型の一次調査に付随するコストが発生しないため、特にコンセプト調査や購買意向調査など、実施回数を重ねたい場面でのコストメリットが大きくなります。

倫理的・機密性の制約からの解放

「現在は存在しない将来の消費者像へのインタビュー」や、実施が難しいデリケートなテーマへの調査など、従来の手法では物理的・倫理的に実施困難だったリサーチにも対応できる可能性があります。また、外部の調査パネルを介さないため、対象者を通じた情報漏洩のリスクが原理的に発生しない点も、未発表の新商品コンセプトなど機密性の高いテーマを扱ううえで大きなメリットです。

二次調査(デスクリサーチ)におけるメリット

調査期間の大幅な短縮

デスクリサーチに限っていえば、AIを活用することで従来の5分の1から10分の1程度の時間で同等の情報量を収集・整理できるようになったという報告も出始めています。ある業界の市場規模・主要プレイヤーのポジショニング・消費者トレンドを概観する基礎的なリサーチであれば、熟練した担当者がAIツールを適切に使いこなすことで、半日以内に初期レポートの素案を仕上げることも現実的になってきました。

コストの構造的な削減

初期調査や仮説検証段階のリサーチについては、生成AIツールへの月次サブスクリプション料金(おおむね数千〜数万円程度)と社内の担当者工数だけで対応できるケースも増えています。「リサーチの初動フェーズ」をAIでカバーすることで、外部委託の予算をより深い一次調査や高付加価値な分析に集中投下できる点も、二次調査AI化ならではのメリットです。

分析品質の底上げ

膨大な公開情報を素早く処理し、人間が見落としがちなパターンや相関を見出す能力においてAIは優れています。担当者のスキルや経験の差異によって品質にばらつきが生じやすかったデスクリサーチ業務を、AIが一定水準で補完することで、組織全体の分析水準を底上げする効果が期待できます。

AI市場調査の具体的な活用場面(一次調査/二次調査)

一次調査(定性)における活用場面

消費者インサイトの抽出・AIペルソナとの対話

SNSや口コミサイト・レビューデータに含まれる「生の声」をAIで解析することに加え、特化型AIペルソナ・AIエージェントとの対話を通じて、ターゲット層の反応や受け止め方を短時間で把握する手法も広がっています。人間の対象者を介さないため、デプスインタビューやグループインタビューに相当する定性的なインサイトを、リクルーティングを待たずに得られる点が特徴です。

ブランドに対する認識や購買後の感情変化を継続的にモニタリングする用途との相性も良好です。

一次調査(定量)における活用場面

AIシミュレーション調査(仮想定量調査)

LLMを活用して仮想的に消費者の反応・回答を再現し、従来の定量調査(アンケートパネルへの実査)をAIで代替・補完する試みです。こうしたAIによって生成された仮想的な消費者や回答はシリコンサンプル(Silicon Sample)と呼ばれ、新商品のコンセプト調査や購買意向調査を、実際のパネルを使わずにAIエージェントへ仮想実施することで、数百〜数千名規模の定量データを短期間・低コストで収集できます。

パネル調査特有の「回答疲れによるバイアス」「虚偽回答」も発生しにくく、コンセプト受容性調査・PSM調査(価格感度調査)・NPS(推奨意向)調査・市場規模・需要調査・ブランドイメージ調査など、幅広いテーマへの応用が期待されています。





AIシミュレーション調査に関心をお持ちの方へ

Laboro.AIが提供する「未来リサーチ」は、LLMの高度な推論力を用いて仮想的に消費者の反応を再現するAIシミュレーション調査サービスです。専門AIリサーチャーが設計〜レポートまで伴走支援するため、操作不要で本格的な定量調査を短納期・低コストで実施できます。まずはサービス詳細ページでご確認ください。

未来リサーチ サービスページ

サービス資料ダウンロード

大手小売企業と共同検証成果に関するプレスリリース


二次調査における活用場面

デスクリサーチ(情報収集・整理)

最もシンプルかつ即効性の高い活用場面が、二次情報を対象としたデスクリサーチです。ChatGPT・Perplexity・Gemini・ClaudeといったAIに対して、調査したい業界・テーマ・競合企業を具体的にプロンプトで指定することで、関連するニュース記事・業界レポート・企業情報などを横断的に収集・要約したレポートを迅速に得られます。

ただし、生成AIが出力する情報には誤りや古い情報が混入するリスクがある点は忘れてはなりません。あくまで「仮説形成のためのインプット」として捉え、重要な数値や事実については必ず一次情報で確認するという姿勢が重要です。

競合分析

競合各社のWebサイト・プレスリリース・SNS発信内容をAIに読み込ませ、訴求ポイント・価格戦略・ターゲット層などを比較分析するアプローチは、特に製品ローンチや戦略見直しのタイミングで有用です。定期的に同じ観点で競合情報を収集・整理するタスクを設定しておけば、人手では週次・月次が精一杯だった定点観測を、日次に近い頻度で実施することも可能になります。

AI市場調査を進めるうえで注意すべきポイント(一次調査/二次調査)

AI市場調査は多くの恩恵をもたらす一方で、適切に運用しなければ「AIが出力した情報をそのまま意思決定に使ってしまう」というリスクをはらんでいます。ここでも、一次調査と二次調査に分けて注意点を整理します。

一次調査における注意点

LLMのクセ・バイアスへの対処

AIペルソナとの対話やAIシミュレーション調査を活用する際に特に注意が必要なのが、LLM固有の「出力のクセ」です。一般に、LLMは人間が好む回答パターンを学習しているため、実際の消費者調査よりもポジティブなスコアを出しやすい傾向があります。また、調査テーマによってスコアの過小・過大評価傾向が変わることも複数の学術研究で報告されています。

さらに、LLMの学習データは英語圏中心であるため、日本人固有の購買習慣・消費スタイルが反映されにくいという課題もあります。こうしたバイアスを制御するためには、調査設計の段階から学術研究の知見や実調査との比較検証を重ねた補正の仕組みを組み込むことが重要です。

適用範囲を正しく理解する

一次調査のAI代替はあらゆるテーマに対応できるわけではありません。「実際に触れる・使う・体験する」ことへの感想・満足度・要望を問う調査(ユーザビリティテスト、製品の使用感評価など)は、AIでは再現が難しい領域です。

一方、「不特定多数の消費者に対して現在や将来の意向・選好・心理・感情を問う調査」は、定性・定量いずれもAIによる実施可能性が高いテーマです。

自社の調査目的に照らして、AIが得意な領域かどうかを事前に見極めることが、効果的な活用の前提となります。

二次調査における注意点

一次情報の確認は必須

生成AIはインターネット上に公開されたテキストをもとに学習・推論しているため、統計データや法律・規制情報など、正確性が求められる情報については特に注意が必要です。AIが生成したレポートを活用する場合でも、意思決定に直結する数値や事実については必ず公的機関・専門機関の一次ソースと照合する習慣を組織として確立しておくことをおすすめします。特に市場規模の数値や法規制情報など、意思決定に直結するデータは、公的機関や専門機関のソースと照合する習慣を持つことが望まれます。

一次調査・二次調査共通の注意点

出力の検証プロセスを設計する

一次調査・二次調査を問わず、AI市場調査を業務フローに組み込む際には、「AIの出力をそのまま使わない」という前提でプロセスを設計することが重要です。AIが作成した初期レポートやシミュレーション結果を担当者が必ずレビューするステップを設けたり、複数のソースや過去の実調査結果とクロスチェックする仕組みを整備したりすることで、品質を担保しながらスピードの恩恵を最大限享受できます。「AIで9割を仕上げ、人間が1割を磨く」というスタンスが、現時点では最も現実的な運用モデルといえるでしょう。

AI市場調査の実践ステップ——どこから始めるべきか

STEP 1:調査目的を言語化する

AI市場調査を始める前に最も重要なのは、「何を知るために調査するのか」を明確にすることです。目的が曖昧なままAIに情報収集を任せても、方向性の定まらないレポートが出力されるだけで、意思決定に活かせるインサイトは得られません。

「新規参入する市場の規模と成長性を把握したい(二次調査)」「新商品コンセプトへの購買意向を測りたい(一次調査・定量)」「特定ターゲット層の受け止め方を知りたい(一次調査・定性)」といった具体的な問いに落とし込んでからツールを使い始めることが、質の高いAI市場調査の出発点となります。

STEP 2:適切なツール・サービスを選定する

調査目的が定まったら、それに適したAIツールやサービスを選定します。デスクリサーチ中心であればChatGPT(Deep Research)・Perplexity・Gemini・Claudeといった汎用生成AIが入口として適しています。コンセプト調査・購買意向調査・NPS調査など定量的なAIシミュレーション調査や、AIペルソナを用いた定性的なインサイト抽出が目的であれば、専門的なAI市場調査サービスの活用を検討するとよいでしょう。

特に大規模サンプルの定量調査や、LLMのクセを制御した精度の高いシミュレーションが必要な場合には、専門知識を持つプロフェッショナルへの委託が品質担保の観点から有効です。

STEP 3:試験運用と品質評価

初めてAIを市場調査に活用する際は、まず既存の調査結果と比較できる「検証しやすいテーマ」で試験運用することをおすすめします。AIが出力したレポートの精度・網羅性・解釈の正確さを、過去の調査結果や一次情報と照らし合わせて評価することで、自社の業務における「AIの得意・不得意」を把握できます。

この試験運用フェーズで得た知見が、本格運用に向けたプロセス設計の精度を大きく左右します。

STEP 4:社内定着と継続改善

試験運用を経て一定の手応えを得たら、AI市場調査を標準業務フローとして定着させるフェーズに移ります。

二次調査については、効果的なプロンプトのライブラリ化や、AIと人間の役割分担の明確化、品質チェックの基準づくりなど、「再現性のある運用モデル」を組織内で共有することが継続的な効果を生む鍵です。

一方、一次調査(定性・定量)の社内定着では、これとは別のハードルが立ちはだかります。AIペルソナやAIシミュレーションが出した結果を、実際の事業判断にどこまで使ってよいのか、経営層や関連部署にどう説明し納得してもらうか——つまり「AIの出力を信頼してもらえるか、納得してもらえるか」という点が、最大のネックになりやすいのです。

過去の実調査データとの精度検証結果を社内で共有したり、まずリスクの低いテーマから試験運用の実績を積み重ねたりすることが、社内の信頼を得るための近道になります。

自社だけでこの検証・説得のプロセスを一から構築するのが難しい場合は、精度検証の実績やバイアス制御のノウハウを持つ、実績のあるAIリサーチ企業に頼るのも一つの手です。専門のAIリサーチャーが伴走することで、社内説明に使えるエビデンスを効率的に整えながら、一次調査のAI活用を定着させやすくなります。

また、生成AIの技術・サービスは急速に進化しており、定期的にツールや活用手法を見直すアジャイルなアプローチも、一次調査・二次調査を問わず求められます。

国内先行事例:Laboro.AIの未来リサーチ

当社Laboro.AIの「未来リサーチ」は生成AI・LLMの高度な推論力を用いて仮想的に消費者の反応・回答を再現する、国内では珍しい定量調査特化のAIシミュレーション調査サービスです。

同サービスの大きな特徴は、LLM固有のクセやバイアスを制御する工夫を実装している点にあります。前述のように、LLMは実調査よりポジティブなスコアを出しやすい傾向や、英語圏中心の学習データによる日本人特有の購買行動の反映不足といった課題を持ちます。

未来リサーチ」ではこれらのクセを、学術研究の探索と「カスタムAI」開発で蓄積した知見をもとに制御する仕組みの実装を進めており、実調査に近い精度の再現を実現しています。

共同検証の結果

先行事例としては、大手小売企業における商品コンセプト調査の共同検証があります。全国1,000名規模の購買意向調査を仮想実施し、446商品の実査結果と出力結果を比較することで、AIシミュレーション調査の精度の高さが評価されました。

調査フロー

調査フローは、「調査目的・テーマのヒアリング→調査設計→AIシミュレーション実施→分析・レポーティング」という4ステップで完結します。

操作はすべてLaboro.AIが担当し、お客様側での操作は不要。AI&調査に精通した専任の「AIリサーチャー」が設計から納品まで伴走するため、委託型の市場調査と同等のサポートをセルフ型リサーチのコスト・短納期で受けられる点が強みです。

コンセプト受容性調査・PSM調査(価格感度調査)・NPS調査・需要調査・ブランドイメージ調査・セグメント別ニーズ調査など、幅広い調査テーマに応用が可能です。さらに、調査対象者による情報漏洩が発生しないという、機密性の観点でもメリットがあります。

  





未来リサーチへのお問い合わせ・資料請求

AIシミュレーション調査サービス「未来リサーチ」では、コンセプト調査・購買意向調査・NPS・PSM調査など定量調査をAIで短納期・低コストに実施できます。専門AIリサーチャーが伴走し、操作は一切不要。まずはサービスページからお気軽にお問い合わせください。

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まとめ:AI市場調査を武器にするために

AI市場調査は、サービスとして実用化が進んできた順序で見ると、まず二次調査(デスクリサーチ)でのAI活用から始まり、次に一次調査のうち定性調査(博報堂・電通によるAIペルソナ対話サービスなど)へ、そして今、一次調査の中でも定量調査(Laboro.AIの「未来リサーチ」のようなAIシミュレーション調査)へと、実務で使えるサービスの適用範囲を段階的に広げてきました。

二次調査ではコスト・スピード・品質の向上が、一次調査(定性・定量)ではリクルーティングを待たない機動性や機密性の高さが、それぞれの領域で従来の市場調査の限界を押し広げつつあります。

一方で、LLM特有のクセや出力バイアスへの理解、一次情報との照合プロセスの確立、そしてどの調査テーマがAIに向いているかの見極めなど、「AIと人間の役割分担」を正しく設計することが、AI市場調査の真価を発揮させる鍵となる点は、一次調査・二次調査を問わず共通しています。

特に一次調査では、AIの出力を社内でどこまで信頼し、意思決定に使ってよいかという「説得」のプロセスが定着のカギを握ります。

海外では評価額10億ドルのAI合成研究スタートアップが登場し、国内でも博報堂・電通やLaboro.AIをはじめとする専門サービスが立ち上がりつつあるいま、AI市場調査は特定の先進企業だけの武器ではなく、マーケティング担当者・事業企画担当者が日常的に活用できるインフラへと変わろうとしています。

まずは自社の調査業務の中で「二次調査」「一次調査(定性)」「一次調査(定量)」それぞれについて、AIが代替できるフェーズを洗い出すところから始め、試験運用を通じて知見を積み上げていくことが、AI市場調査を組織に根付かせる確実な第一歩となるでしょう。

【あわせて読みたい実践ノウハウ】

本コラムの監修者、和田による日経クロストレンドの連載。生成AIを用いた商品企画やカスタマージャーニー設計の具体的な実証ステップを徹底解説しています。

【全4回】日経クロストレンド連載「未来の消費者に聞け『AIリサーチ』」


執筆者

Laboro.AI編集部

株式会社Laboro.AIの独自技術や最新のAIに関する情報をお届けします。

監修

執行役員CBO(最高ブランディング責任者) 和田 崇

立教大学大学院経営学修士(マーケティング論・消費者行動論)。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科博士後期課程中退。KDDI株式会社に入社、コンシューマ向け商品・サービスのクロスメディアによるプロモーション施策の立案・企画運営に携わったのち、全国漁業協同組合連合会を経て、2019年にLaboro.AIに参画。マーケティング/ブランディング業務に従事する傍ら、NewsPicksプロピッカーとして活動するほか、日経クロストレンドなどメディア寄稿多数。